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動物看護師試験のための行動学「生得的行動②社会維持行動」

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  動物行動学 生得的行動②(社会維持行動1) 動物の生得的行動についての解説です。 前回は 個体維持行動 について解説しました。 ご覧になっていない方は上のリンクからご確認ください。 社会維持行動とは 社会 維持 行動は仲間と親睦を深めたり、外敵を追い払うなど 他個体とのコミュニケーション行動 が含まれています。 社会維持行動として、まず最初に距離によるコミュニケーションに解説します。 コミュニケーションというと身体や声などを使った方法をイメージされる方も多いですが、相手とどのような距離を取るかでも、敵なのか仲間なのかを判別することができます。 動物の行動に影響を与える距離には以下のものがあります。 社会空間行動 ・生活圏:動物が普段の生活で行動する距離。この圏内で同種他個体と会っても争うことは無い ・ 逃走距離 :見知らぬ個体が近づいてきた時に 自分が逃げ出す 距離 ・縄張り:他の個体が侵入することを 積極 的に拒み防衛しようとする領域 ・ 臨界距離 :相手がこの距離に侵入した際に 防衛的攻撃が現れる 距離 ・ 個体的距離 :身体の接触が伴う距離。母子などの 親しい個体のみ侵入を許される 。親密でない個体が入ると威嚇して接近を拒む これらを図にすると以下のようになります。 順番のイメージは外側から ・ まず逃げる ・縄張りまで逃げても ダメなら身を守るために闘う 野生動物に人が襲われる報道がたまにありますが、多くの場合は民家や薮などで動物が人の存在に気付けず、縄張りや臨界距離まで人が入ってしまうケースです。 熊よけの鈴などは音を使い、距離が縮まる前に動物に逃げてもらうという行動学的には非常に理にかなった道具なのです。 次に具体的な社会維持行動について解説します。 社会維持行動は大きく2つに分類されます。 親和的行動・敵対的行動 ・他個体と距離を 縮める ための 親和的行動 ・他個体と距離を 広げる ための 敵対的行動 親和的行動にはあいさつ行動、遊び行動、相互グルーミング行動などが含まれており、仲間と互いにこの行動を示すことで安心感などを得ることができます。 あいさつ行動は同種他個体に出会った際に、イヌであれば互いにお尻の匂いを嗅ぎ合ったり、ネコならば互いの鼻を近づけて匂いを嗅ぐといった行動がよく目にするかと思います。 あいさつ行動をすることで、相手に「自分は敵